
この提案は、認可された決済用ステーブルコイン発行体に対し新規顧客の本人確認を義務付けるもので、流通市場の保有者による発行体への直接償還も口座関係として扱う内容である。規制当局はGENIUS法の実施に向けた作業を進めている。
米連邦準備制度はGENIUS法の下で、認可された決済用ステーブルコイン発行体に新たな顧客確認要件を課す案を提示した。銀行やその他の金融機関で長年用いられてきたコンプライアンスの枠組みを、この分野にも拡大する内容である。提案では、発行体が口座開設前に各新規顧客の正式氏名、出生日または設立日、住所、政府発行の本人確認番号を取得することを義務付け、パブリックコメントの期限は60日以内とした。 この措置は、トランプ大統領が2025年7月に署名して成立した「米国ステーブルコインの国家的イノベーションを導き確立する法(GENIUS法)」に続く、米国のステーブルコイン規則整備の一環である。同法はステーブルコインに関する連邦規制体制を創設し、流動性資産による100%準備を義務付け、発行体を銀行秘密法の適用対象とした。施行日は2027年1月18日、または主要な連邦規制当局が実施規則を最終化してから120日後のいずれか早い日である。 提案の重要な特徴は、流通市場でステーブルコインを取得したトークン保有者による発行体への直接償還の扱いである。この場合、償還時のやり取り自体を口座関係とみなし、顧客確認義務が発動する。一方で、発行体が直接の相手方ではない純粋な流通市場取引は、スマートコントラクトによる移転を含め、提案上の口座関係の定義外となる。米連邦準備制度のマイケル・バー理事はこの提案を支持した一方、ステーブルコイン市場にはなお、準備資産の質、規制裁定、マネーロンダリング対策の欠落、金融安定に関わるリスクが残るとの懸念を改めて示した。