
6月22日の大統領令は、耐量子移行に関する連邦政府の期限を定めたほか、契約業者やベンダーにNIST標準化暗号の採用を促すことで、ブロックチェーンのセキュリティ研究にも影響を及ぼす可能性がある。
ドナルド・トランプ大統領は6月22日、米国の量子コンピューティング開発と連邦政府による耐量子暗号への移行をともに加速させる2本の大統領令に署名した。これにより、ブロックチェーンに対する量子リスクを研究する仮想通貨業界の研究者の関心も改めて高まっている。1本目の大統領令では、Quantum Computer for Application Development and Discovery Science(QC-ADDS)構想を創設し、エネルギー省に対し、既存の古典計算機を超える科学用途に対応可能な量子計算機を少なくとも1台導入するため、90日以内に技術仕様を定義し、180日以内に費用、提携先、導入時期を評価するよう指示した。また、商務長官、国防長官、エネルギー長官、およびNASA長官に対し、量子対応センサーとネットワークに関する5年間の運用計画の策定も求めた。2本目の大統領令は、連邦政府の高価値資産および高影響の民間システムに対し、2030年12月31日までに鍵共有で、2031年12月31日までにデジタル署名で、それぞれ耐量子暗号を採用するよう義務付ける一方、国家安全保障システムはこれら民間向け期限の対象外とした。Project Elevenの最高経営責任者アレックス・プルーデン氏は、連邦調達規則の変更を通じて要件が連邦契約業者全体に広がり、ML-KEM、ML-DSA、SLH-DSAといったNIST標準アルゴリズムが明示されたことで、量子耐性を備えたブロックチェーン研究の加速につながる可能性があると述べた。同氏は、一部のブロックチェーン・プロトコルが非NIST方式を検討する中でも、こうした動きはNIST準拠の手法を後押しする可能性があるとし、ビットコインで注目すべき動きとしてBIP-360などの提案を挙げた。量子コンピューターが十分な性能に達した場合、公開鍵が露出した数百万BTCが理論上は脆弱になり得るため、連邦政府の厳格な新日程により仮想通貨市場の関心も再燃している。Project Elevenは、現代の暗号を破れる「Q-Day」が早ければ2030年にも到来し、約690万BTCがリスクにさらされる可能性があると主張しており、露出済み供給量を約700万BTCとみる他の推計ともおおむね一致する。アナリストによると、ビットコインにとってより大きな課題は、耐障害性を備えた量子ハードウェアが登場する前に、利用者がより安全なアドレス形式へ資金を移し、より柔軟な「暗号アジリティ」を備えた暗号システムを採用するよう調整することにある。