今回のミュンヘンでの発表は、CATLが実環境での検証を経た世界初のナトリウムイオン蓄電システムと位置付けるもので、海外向け出荷は2027年6月に開始する予定である。
CATLは6月22日、ミュンヘンでTENER Sodiumを発表し、これを実環境での検証を経た世界初のナトリウムイオン蓄電システムと位置付けた。技術、生産能力、サプライチェーン支援の各面で全面的な商用化体制が整ったとしている。累計納入量は2026年末までに1GWhに達する見通しで、グローバル出荷は2027年6月に始まる。 同システムはCATLの最新ナトリウムイオン電池化学を基盤とし、モジュール型アーキテクチャーにより定格容量30MWh超を実現する。各モジュールの重量は約42トンで、1GWhの設備構築に必要なユニット数は34基のみとしている。設計面では出力ブロックとエネルギーブロックを分離し、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間の蓄電時間に対応するほか、損傷したモジュールを個別に切り離して交換できるため、稼働率向上と運用コスト低減につながるとしている。 CATLはまた、ナトリウムイオンシステム向けに最適化したステーションレベルの機能も強調した。専用のBi-DC双方向電圧制御システムにより、往復効率(充放電効率)を約2%改善するとしているほか、SOC(充電状態)の推定精度向上を狙ったナトリウムイオン向けBMS(バッテリー管理システム)も搭載する。ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池に比べてSOC過充電耐性が20%高く、運用システムにより広い安全マージンをもたらすという。さらに、上部排気型の気流設計により、従来ソリューション比でシステム発熱を約30%削減し、補機電力消費を業界平均の2%から1%へ低減するほか、騒音も65デシベルに抑え、従来システムを10デシベル下回るとしている。 同社によると、TENER SodiumはLFPシステムと互換性があり、設置面積も同じである。顧客は筐体の変更や案件の再設計、認証手続きのやり直しを行うことなく、ナトリウムイオンとリチウムイオンの技術を切り替えられるという。さらに、同プラットフォームは2000Vの高電圧アーキテクチャーへのアップグレードにも対応可能としている。 CATLは2016年からナトリウムイオン電池の研究を進めており、過去10年間で約12億ユーロを投資したとしている。300人超の研究開発専門人材を擁し、1600超の特許ファミリーを構築し、世界で200件超の特許を取得、100件超の技術課題を克服したという。生産面では、正極材・負極材を数万トン規模で供給できる能力を持ち、福建省寧徳市の福鼎拠点では50億元を投じてナトリウムイオン生産ラインを年産40GWh拡張した。山東省済寧拠点では160GWhのナトリウムイオン生産能力を計画している。 同社は、初のナトリウムイオン蓄電システムの中国向け納入を今年9月に開始するとした。また、2026年4月にHyperStrongと締結した3年間・60GWhの受注契約について、世界最大の商用ナトリウムイオン契約であり、ナトリウムイオン蓄電がGWh規模展開の段階に入ったことを示すものだと説明した。