S&P、米国をAA+で据え置き安定的見通しも財政赤字に警鐘

同格付け会社は、米経済はなお強靱であるとした一方、通商政策の変動や、財政赤字、利払い費、高齢化関連支出による中長期的な財政圧力へのエクスポージャーを指摘した。

要約

S&Pグローバル・レーティングは、米国の格付けを最上位のAAAより1段階低いAA+で据え置き、見通しを安定的とした。経済の強靱さ、堅調な歳入確保、信認できる金融政策を理由に挙げる一方、通商政策の変化が将来の財政安定性に影響し得ると警告した。S&Pは、財政赤字は高水準ながらおおむね安定しているとし、関税収入を含む歳入は経済の強さに支えられている一方、通商政策変更へのエクスポージャーが不確実性を高めていると述べた。さらに、利払い費と高齢化関連支出の構造的な増加により、米国の純一般政府債務はGDPの100%近くに達するとの見通しを示した。また、根強い政治的分断と財政赤字削減に向けた超党派協力の乏しさも指摘したが、借り入れ拡大を認めなければ金融市場と経済に深刻な影響が及ぶため、議会は今後も債務上限を巡る対立を解消し続ける公算が大きいとした。議員らが歳出抑制に失敗したり、税制変更による歳入への影響を適切に管理できなかったりした場合、今後2年以内に格付けへ下押し圧力がかかる可能性がある。主要3大格付け会社は現在いずれも米国をトリプルAの1段階下に位置付け、見通しを安定的としており、S&Pは2011年に米国をAAAから引き下げた最初の主要格付け会社であった。

用語解説
  • AA+: 最上位のAAAより1段階低いソブリン信用格付け。
  • debt ceiling: 米政府が借り入れ可能な額の法定上限。