29兆ドル運用の政府系投資家、ドル不安でエネルギー資産に軸足

インベスコの調査によると、中央銀行と政府系ファンドは強靱なポートフォリオを優先しており、米国債務への懸念の高まり、金への関心拡大、米国拠点の金融インフラの精査が進んでいる。

要約

29兆ドルを運用する政府系ファンドと中央銀行は、強靱性を軸にポートフォリオを見直しており、エネルギー資産への需要が強まる一方、ドルの長期的な準備資産としての役割への懸念が高まり、分散投資を一段と進めている。インベスコが90の政府系ファンドと54の中央銀行を対象に実施した調査では、80%がポートフォリオの強靱性を高めるうえで、エネルギー安全保障とエネルギー転換インフラを最も有力な投資先とみなした。2026年時点で、インフラ資産は政府系ファンド資産の9%に達していた。報告書によると、関税、航路の閉鎖、ウクライナや中東での戦争が、地政学的ショックへの耐性が高い資産へ投資家を向かわせており、エネルギー多消費型のAIインフラ整備の進展もその魅力を高めている。ドルを巡る懸念は広がっており、調査対象の中央銀行の61%が、米国の債務水準が準備資産としてのドルの長期的地位を損なうと回答した。これは2024年の20%から上昇した。さらに、5年後にドルの基軸通貨としての地位が弱まると見込む回答は29%に達し、2022年の12%から上昇した。回答者の3分の1は金保有を増やす計画があるとし、一部の機関は米国拠点のカストディアン、取引相手先、清算インフラへの依存を見直している。

用語解説
  • 準備資産: 中央銀行が信認、流動性、国際決済を支えるために保有する資産で、主要通貨や金が一般的である。
  • カストディアン: 投資家に代わって資産を保管し、安全管理を担う金融機関。
  • 取引相手先: 金融取引の相手方であり、その履行能力が決済やリスクに影響する。