
豪州のトラベル・ルールが7月1日に発効し、送金額の下限を設けずに適用される。主要法域でマネーロンダリング対策の管理強化が進むなか、市場はEU基準により近づく。
豪州で事業を行う仮想通貨取引所は7月1日から、AUSTRACが執行するトラベル・ルールに基づき、すべての暗号資産の入出庫送金について追加情報の収集を開始する。この規則は送金額にかかわらず適用され、現地規制に準拠するプラットフォームに対し、相手方の氏名や関与した取引所を含む送信者・受取人の本人確認情報の記録を義務付ける。自己管理型ウォレットに送金する利用者も送金先アドレスを自ら管理していることを確認しなければならないが、AUSTRACは未検証の自己管理ウォレットに関する正式な報告義務を2029年3月まで先送りしている。 この措置は2024年11月に成立したマネーロンダリング防止・テロ資金対策(AML/CTF)制度改革の最終段階に当たり、改革の大半はすでに3月から施行されている。AUSTRACは国内の仮想通貨取引所27社に対する監督を強化しており、この分野をマネーロンダリング上の高リスク分野と位置付けている。一部プラットフォームは期限前に対応を進めており、クラーケンは3月31日から豪州顧客のプライベートウォレット向け送金に追加確認を導入した。 7月1日の開始日は欧州の重要なコンプライアンス節目とも重なる。EUの資金移転規則はすでに、金額を問わず仮想通貨送金に完全な送信者・受取人データを求めており、MiCAの移行期間も同日に終了する。各法域でしきい値にはなお違いがあり、米国では3000ドル以上の送金が報告対象となるものの、並行した制度導入はFATFのトラベル・ルール基準を軸とする広範な収れんを浮き彫りにしている。