欧州の再軍備推進、実行力が試される局面で防衛株の割高感に投資家が疑義

来週アンカラで開かれるNATO首脳会議では、軍事予算の拡大が、供給網・労働力・調達面のひっ迫の中で、兵器や工場、実戦で使える能力に転換できるかが検証される見通しである。

要約

欧州の再軍備推進は、防衛企業や各国政府が数千億ユーロ規模の資金を実際の兵器供給や産業能力へ転換できるかどうかに焦点が移り、より難しい局面に入っている。来週のアンカラでのNATO首脳会議を前に、調達の遅れ、各国計画の分断、人手不足、供給網の制約が増強を鈍らせるなか、防衛関連株の急騰が業界の実行力を先取りしすぎているのではないかとの疑念が投資家の間で強まっている。欧州の防衛株と受注残は、ロシアによる2022年のウクライナ侵攻以降急増しており、マッキンゼーは欧州NATO主要国の中核防衛支出が2019年以降で倍増し、10年末までに約8000億ユーロに達する可能性があると試算している。これは、NATOが新たに掲げるGDP比3.5%の防衛支出基準に沿う水準である。ただ、ドイツがF126フリゲート艦計画を中止し、代わってティッセンクルップ・マリン・システムズのより小型のMeko A-200フリゲート艦8隻を採用した最近の事例は、予算が増えても政府の優先順位が変わり得るリスクを浮き彫りにした。アナリストや経営陣は、欧州が依然として主要分野で米国など海外サプライヤーに依存しており、より深い産業協力と域内生産の拡大がなければ、予算拡大だけで戦略的自律性は自動的に実現しないと指摘する。

用語解説
  • 戦略的自律性: より強固な国内または域内の防衛・産業能力を構築することで、海外サプライヤーへの依存を減らす政策目標。
  • 受注残: 企業が契約済みでまだ納品していない業務の総額で、投資家が将来の売上可能性を測る際の指標として使われることが多い。
  • 相互運用性: 異なる国の軍事システムや部隊が効果的に共同運用できる能力。