
異例の枠組みに重大な懸念を示しつつも判事は承認した。取り消し可能信託が制裁金を支払い、マスク氏個人への請求は取り下げられる内容である。
米連邦判事は、2022年のツイッター株購入の開示遅延を巡るイーロン・マスク氏と米SEC(証券取引委員会)との150万ドルの和解を承認した。一方で、この合意が実効的な説明責任を伴うのかについて公然と疑問を呈した。米連邦地裁のスパークル・L・スークナナン判事は、この枠組みには重大な懸念と危険信号があるとしつつ、司法審査を愚弄するほど不合理でない限り、裁判所がこれを退けることはできないと結論づけた。 SECは2025年1月、マスク氏がツイッター株の保有比率5%超を適時に開示せず、その後も市場が同氏の保有を把握する前に買い増しを続けたとして提訴した。規制当局によれば、これにより同氏は約1億5000万ドルを節約し、開示期限経過後に約5億ドル分のツイッター株を購入したという。 和解条件では、マスク氏本人ではなく同氏の取り消し可能信託が、申し立てを認めも否定もせず民事制裁金を支払う一方、同氏個人に対する請求は棄却された。スークナナン判事は、SEC自身が、受託者または受益者に対する手続きを伴わずに信託とだけ証券取引法13条(d)違反事件を和解した前例はないと認めていたと指摘した。また、投資家への補償につながり得た不当利得返還請求を、なぜ当局が途中で断念したのか疑問を呈した。 判事はさらに、2026年5月に訴訟の流れが急転した点も強調した。この時、SECは訴状を修正して信託を被告に追加し、1億5000万ドルの不当利得返還請求を取り下げ、速やかに同意判決を申し立てた。SECは、マスク氏個人を無制裁とする扱いは同氏側の要請であり、妥協案として受け入れたと説明した。今回の判断により、マスク氏による440億ドルでのツイッター買収に絡む残る規制当局との争いの1つは終結するが、多額の不当利得が疑われる事案でSECが開示規則をどこまで厳格に執行するのかという、より広い問題は残されたままである。