ロシアも輸出を制限し、カタールのラスラファン施設の損傷も加わるなか、半導体製造やAIハードウエアで使う供給への圧力が強まっている。
中国は2026年7月10日からヘリウムの輸出を一時禁止する。北京が半導体製造に使われる重要な工業用ガスの国内供給を確保する動きである。この制限は、税関コード2804290010を対象とすると此前報じられており、中国商務省と税関総署が発表した。世界のヘリウム市場に広範な逼迫が生じるなかでの措置となる。 ロシアは2026年4月にヘリウム輸出の一時規制を導入し、2027年末まで維持する予定である。一方、これまで世界のヘリウム生産のおよそ3分の1を担っていたカタールのラスラファンLNG施設は、地域紛争に関連する操業上の損傷を受けた。ホルムズ海峡での混乱も物流面の圧力を強めている。 世界のヘリウム供給に占める生産比率は、米国が約43%、カタールが約33%、ロシアが約8%で、中国はヘリウムの80%以上を輸入に依存している。ヘリウムはチップ製造において、冷却、漏えい検知、露光工程のキャリアガスに使われるため、供給が引き締まればコスト上昇と生産減速を招き、半導体、AIチップ、HBMメモリー、さらにデータセンター向けGPUやビットコイン採掘機など関連ハードウエアの生産に影響し得る。2026年のヘリウム価格の上昇には、アジアの半導体市場とAI市場からの需要拡大がすでに反映されている。