
米銀行監督当局の共同指針は、監督対象の金融機関に対し、無許可の借り手に関連する信用リスクの再点検を求めた。新たな数値基準を伴う正式な規制は導入せず、既存の監督上の期待を改めて強調する内容である。
米銀行監督当局は、無許可の借り手に関連する信用リスクの管理を貸し手が見直すよう促す共同指針を公表した。トランプ政権がこうした融資をより高リスクの可能性があるものとして扱うよう求める姿勢を改めて示した形だが、新たな正式ルールを設けるものではない。通貨監督庁(OCC)、連邦預金保険公社(FDIC)、NCUA(米信用組合監督庁)は、この声明が各当局の監督対象となる金融機関全般に適用され、借り手の返済意思と返済能力を評価する既存の義務を再確認するものだと説明した。この動きは、トランプ大統領が5月に、無許可移民による金融システム利用への対応を当局に指示した大統領令に続くものである。今回の指針は具体的な指標や期限、詳細な順守基準を示しておらず、銀行や信用組合は引受基準やリスク管理をどう調整するか独自に判断する必要がある。この曖昧さにより、一部の貸し手は特定の融資から後退する可能性があり、他方で書類提出や本人確認の要件を厳格化する動きも想定される。結果として、信用供与へのアクセスが鈍化し、順守コストが上昇する可能性がある。批判派は、この政策がより広範な銀行利用を萎縮させ、一部の金融活動を規制対象外の領域へ押し出す恐れがあると指摘する。無許可移民向け融資のデータは限られるが、アーバン・インスティテュートは2023年のITIN住宅ローン実行件数を5,000〜6,000件と推計した。全体の住宅ローン実行件数は同年約460万件だったと、全米地域再投資連合が示している。仮想通貨市場への直接的な影響は限定的とみられるが、融資や順守を巡る慎重姿勢の広がりは資産市場全体に波及する可能性がある。