FRBのクック理事、インフレリスクが雇用懸念を上回ると指摘

クック理事は、政策が適切に抑制的であり続ける場合にのみインフレ期待は安定すると述べる一方、関税や中東紛争、AI投資が物価圧力を高止まりさせる可能性があると警告した。

要約

米連邦準備制度(FRB)のリサ・D・クック理事は、労働市場がおおむね安定を保つ中でも、米経済が直面するリスクのバランスはインフレ側へ傾いたと述べ、インフレ期待を抑制された状態に維持するには政策当局が気を緩めることはできないと警告した。一定期間にわたりインフレが鈍化すると見込むのは妥当だとしつつも、物価上昇が十分な速さで和らがない場合には、FRBは必要な措置を講じる用意があると付け加えた。 クック理事は、昨年夏以降、リスクは著しく変化し、インフレの上振れリスクが高まる一方で、労働市場の下振れリスクは後退したと述べた。米労働市場は総じて安定していると説明し、インフレがさらに落ち着くとみる理由はいくつかあるとしながらも、関税や中東紛争、人工知能(AI)関連投資を持続的な物価圧力の要因として挙げた。 今回の発言は、インフレリスクが雇用への懸念を上回っているとのクック理事の従来の見解を改めて裏付けるものとなった。これに先立つワシントンでの講演では、直近のCPIとPPIのデータを踏まえても、FRBが目標とする物価指数は6月までの12カ月で3.7%上昇したことが示唆され、中央銀行の2%目標を上回っていると述べた。一方で、6月の失業率は4.2%で、他の労働指標も底堅さを示していたとした。 今回の説明では、米連邦準備制度のケビン・ウォーシュ議長の発言も新たに盛り込まれた。ウォーシュ議長は、最近のインフレ指標が基調的な物価圧力を十分に捉えていない可能性があると述べ、いかなるインフレ指標にも満足していないと語った。労働市場は力強く見える一方、インフレ見通しはそれほど心強いものではないとし、FRBは金利やバランスシート政策を含む利用可能な手段に加え、物価安定の確保に向けて既存手段の見直しが必要かどうかも評価すると付け加えた。

用語解説
  • インフレ期待: 将来、物価がどの程度の速さで上昇するかについて、家計や企業、市場が抱く見方。
  • バランスシート政策: 金融環境に影響を与えるために、中央銀行が保有資産の規模や構成を調整する政策。
  • FOMC: 米国の金融政策を決定する米連邦準備制度の機関、連邦公開市場委員会。