AST SpaceMobile、2034年償還の転換社債型シニア債10億ドルを条件決定

私募には1億5000万ドルの増額オプションと希薄化抑制を狙うキャップド・コール取引が含まれ、調達資金は成長施策と打ち上げ機会拡大に充てられる。

要約

AST SpaceMobileは、2034年償還の1.625%転換社債型シニア債10億ドルの私募条件を決定したと発表した。決済は一般的な完了条件を前提に2026年7月20日を予定する。転換価格の当初設定は1株当たり約79.57ドルで、ナスダック・グローバル・セレクト・マーケットにおける2026年7月15日の終値66.31ドルに対して20.0%のプレミアムとなる。引受金融機関には、発行日を初日とする13日間に追加で1億5000万ドル分の社債を購入できるオプションも付与された。 手取り金は約9億8360万ドル、追加購入オプションが全額行使された場合は約11億3120万ドルを見込む。AST SpaceMobileはこのうち9690万ドルをキャップド・コール取引(希薄化を抑えるオプション戦略)に充当し、残りは成長施策と、宇宙ベースの携帯ブロードバンド網に向けた軌道投入機会の拡大に充てる方針である。これには、垂直統合の深化や第三者の打ち上げ事業者への依存低減を目的とした提携や買収の可能性も含まれる。もっとも、こうした戦略取引に関する了解や合意は現時点で存在しないとした。 同債券は無担保のシニア債務で、利払いは2027年2月1日から半年ごとに実施され、2034年2月1日に償還を迎える。ただし、それ以前に転換または買い戻しが行われた場合はこの限りではない。AST SpaceMobileによると、キャップド・コールの当初上限価格は1株149.20ドルで、2026年7月15日の株価に対して125.0%のプレミアムとなる。一定の上限の範囲内で、転換に伴う希薄化や現金支払い負担の相殺を狙う設計である。一方で、オプション取引の相手方によるヘッジ活動が同社株や社債の取引に影響を及ぼす可能性があるとも警告した。今回の募集は、Rule 144A(米国の私募再販売免除)に基づき適格機関投資家向けに実施される。

用語解説
  • 転換社債型シニア債: 株式に転換できる債務証券
  • キャップド・コール取引: 株式の希薄化を抑えるために用いられるオプション戦略
  • Rule 144A: 機関投資家向けの米国私募再販売免除