裁判所がAnthropicの15億ドル著作権和解を承認、著者側と決着

この判断により、約50万冊を対象に1作品当たりおよそ3,000ドルの支払いが認められたほか、この支払いがAnthropicの海賊版利用に関する法的リスクを解消する一方、AI学習がフェアユースに当たるかについて拘束力ある先例は生まれないことが改めて示された。

要約

米連邦裁判所の判事は、Claudeの学習に関連して使用された海賊版書籍を巡る著者・出版社側とAnthropicの15億ドルの集団訴訟和解を承認し、原告側が史上最大の既知の著作権回復と呼ぶ案件が確定した。米連邦地裁のアラセリ・マルティネス=オルギン判事は、この和解を「公正かつ十分」と認定し、請求額を過小評価しているとの異議を退けたうえで、約50万作品に対し1作品当たりおよそ3,000ドルを分配することを認めた。対象となる権利者の92%超が請求を提出した。Anthropicは蓄積していた海賊版ファイルの破棄にも同意した。 今回の和解は、当時担当していたウィリアム・アルサップ判事が2025年6月に示した一部認容・一部否定の判断に続くものである。同判事は、著作権で保護された書籍をAIモデルの学習に用いることは合衆国法典第17編107条に基づく変容的なフェアユースに当たると判断した一方、700万冊超の海賊版書籍からなる恒久的な中央ライブラリーをAnthropicが維持していた点については保護の対象外とした。この区別がAnthropicの法的リスクを左右した。故意侵害には合衆国法典第17編504条(c)(2)に基づき1作品当たり最大15万ドルの法定損害賠償が科され得るためである。Anthropicは2025年12月に予定されていた損害賠償審理の前に和解した。 Bartzほか対Anthropic PBC事件は、AI業界全体に対する拘束力ある法理を確立するものではない。フェアユースに関する判断が地裁レベルの判断であり、控訴審で審査されないためである。このため、Google、Meta、OpenAI、Midjourneyを相手取る他のAI著作権訴訟では異なる結論に至る余地が残る。一方で、Anthropicの和解は、AIによる著作権保護書籍利用を巡る初期の市場ベンチマークとして機能する可能性がある。

用語解説
  • フェアユース: 米国著作権法上の法理で、利用目的や市場への影響などの要素に応じ、保護対象素材の無許諾利用が認められる場合がある。
  • 法定損害賠償: 法律で定められた損害賠償で、著作権訴訟では正確な経済的損害を立証しなくても認められる場合がある。
  • 集団訴訟: 同種の請求を持つより大きな集団を代表する原告が提起する訴訟。