テキサスのデータセンター反発、11月投票前に知事選へ波及

AIサーバー事業への反対がテキサスの農村部や他州に広がり、グレッグ・アボット氏に圧力をかけるとともに、民主党のジーナ・イノホサ氏に保守層有権者への食い込み余地を与えている。

要約

人工知能を支えるデータセンターが、テキサス州知事選の争点として急浮上している。民主党候補のジーナ・イノホサ氏は、水使用量や電力コスト、土地への影響を巡る農村部の怒りを、共和党のグレッグ・アボット知事へのより広範な挑戦へとつなげようとしている。この問題はオハイオ、ウィスコンシン、ペンシルベニアなど州全体の選挙戦でも浮上しており、地域社会は秘密主義や汚染、電気料金の上昇、農地やオープンスペースへの圧力を懸念して大規模なサーバー施設に反発している。 その攻防の中心にあるのがテキサス州である。JLLの報告書によると、同州は豊富な土地とエネルギー、開発に好意的な規制環境を背景に、2030年までに北バージニアを抜いて世界最大のデータセンター市場になる見通しである。西テキサスやパンハンドルでは、世界最大とされるアマリロ近郊の施設を含む大規模案件の建設が進み、グーグルもテキサス北西部で4カ所のデータセンターを建設している。 支持派は、こうした投資が米国のイノベーションやサイバーセキュリティー、エネルギー供給力を強化すると主張しており、トランプ大統領もAIを巡る対中競争でデータセンターを優先課題に位置付けている。これに対し批判派は、透明性もルールも不十分なまま事業が進んでいると訴える。テキサスでは郡にゾーニング権限(土地利用に関する地方自治体の権限)がなく、地域住民が計画を阻止する力が限られるため、懸念は一段と強い。 11月にグーグルの400億ドルのテキサス投資を後押しし、「テキサスはAI開発の中心地だ」と述べていたアボット氏は、足元で論調を変えている。同氏は、データセンターによってテキサス州民の電気料金が上昇しないよう規制当局に対応を指示し、来年は年間10億ドル超の州税優遇の打ち切りや「テキサスの農村部の住宅地」での建設停止を含む規制法案を目指す考えを示した。これに対しイノホサ氏は、そうした表現を「誰にも意味が通じない二枚舌」と一蹴し、計画が州民に利益をもたらさない場合や住民の意見が反映されていない場合には許認可を阻止すると述べた。 反発は党派をまたいで広がっている。批判派には民主党員や共和党員に加え、テキサス州農務長官のシド・ミラー氏も含まれる。牧場経営者や地元当局者は、干ばつに見舞われやすい州だけに水不足への懸念がとりわけ強いとし、不足が深刻化すればデータセンターが農業利用者より優先されかねないと警告する。共和党主導のラボックの団体を含む抗議グループも結成されており、保守派の反対者の一部はイノホサ氏に投票しなくてもアボット氏を支持しない可能性があるとしている。この不満が農村部の投票行動を変えるほどかはなお不透明だが、反対派は、共和党一括投票から一部有権者を遠ざけつつあるとみている。

用語解説
  • データセンター: コンピューターサーバーを収容する大規模施設
  • AI: 人工知能コンピューターシステム
  • zoning authority: 土地利用に関する地方政府の権限