
インドのサイバー犯罪対策機関は、デリーの抗議活動に伴うインターネット遮断の中で同アプリの利用が広がるなか、GitHubに対しBitchat関連リポジトリの削除を命じた。この措置を巡っては、法的根拠を問題視するデジタル権利擁護団体から批判が出ている。
インド内務省傘下のインド・サイバー犯罪調整センターは、2000年情報技術法79条3項b号に基づき、ジャック・ドーシー氏が支援するBluetoothメッシュ型メッセージングアプリ「Bitchat」に関連する3つのリポジトリについて、3時間以内にアクセスを無効化するようGitHubに命じた。7月23日付の通知は、permissionlesstechアカウント配下の主要プロジェクト、Androidビルド、Androidリリースファイルを対象とし、GitHubに対してセーフハーバー保護の喪失や刑事訴追の可能性を警告した。 この命令は、デリーのジャンタル・マンタル周辺でモバイルインターネットの停止が繰り返されるなか、試験問題漏えいに抗議する学生らがBitchatのようなオフラインツールの利用を拡大していた時期に出された。BitchatはBluetoothメッシュを通じて端末間で暗号化メッセージを中継し、最大7ホップ先まで転送できる。暗号化にはNoise protocolを用い、インターネット接続が利用可能な場合はNostrを使う。アカウント、電話番号、中央サーバーはいずれも不要で、コードはパブリックドメインとして公開されている。 ジャック・ドーシー氏は7月24日、Xでこの通知を公表し、インド政府がこの技術の削除を求めていると述べた。インターネット・フリーダム財団は、通知が特定の違法コンテンツを示さず、ネットワーク規制やインターネット遮断下でも機能するソフトウエア自体に異議を唱えていると指摘した。同団体はこの削除命令を違憲かつ権威主義的だと批判し、79条3項b号は最高裁のShreya Singhal判決の下でブロッキング権限を認めていないと主張したうえで、深夜に近い時間帯に設定された3時間の期限では法的異議申し立ての余地がほとんどないとした。 記事執筆時点で、これらのリポジトリはなおGitHub上で閲覧可能であり、GitHubもMicrosoftも公にはコメントしていない。仮に削除されても影響は限定的となる可能性がある。プロジェクトには3,000件超の公開フォークがあり、すでに端末にインストール済みのアプリはそのまま動作し続けるためだ。今回のインドの措置は、4月に中国がAppleに対し同国のApp StoreからBitchatを削除するよう命じた動きに続くものである。