トラスト・スタンプ、マルタ子会社を通じEUの30億ユーロ半導体計画に参画

ナスダック上場の生体認証アイデンティティ企業である同社は、IPCEI ASTの参加企業に選定され、検証済みの人間の身元情報を半導体デバイスに直接ひも付ける技術に取り組む。

要約

ナスダックにティッカーシンボルIDAIで上場するAI活用型の生体認証アイデンティティ企業トラスト・スタンプは、先端半導体技術に関する欧州連合の「欧州共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI AST)」の直接参加企業に選定された。ドイツが調整役を担うこの取り組みには30億ユーロ超の資金拠出が確約されており、欧州が半導体主権の強化を目指す広範な戦略の一環である。 同社のマルタ子会社は、Malta Enterpriseの支援を受けて参加を確保した。担う役割は生体認証アイデンティティ・バインディングの開発であり、従来のパスワードベースの認証ではなく、暗号学的証明を通じて検証済みの人間の身元情報を半導体デバイスに直接結び付ける仕組みである。 トラスト・スタンプの取り組みは、ハードウェア起点のセキュリティに重点を置くものであり、本人確認をソフトウェアから半導体レベルへ移行させる。同社はこのプロジェクトにより、金融や政府など本人確認の確実性が求められる規制業種向けのプライバシー重視型アイデンティティ技術における地位も強化されるとしている。 今回の選定により、小型株である同社は大手競合が支配する分野で制度的な後ろ盾を得た。ただ、技術面と商業面の道のりはなお厳しい。投資家は、IPCEI ASTへの参加が研究開発向けの国家補助につながるか注視している。実現すれば、製品開発の長期化に伴い生じがちな資金負担の緩和につながる可能性がある。

用語解説
  • IPCEI AST: 先端半導体技術と戦略的なチップ供給網に焦点を当てた、EU支援の取り組み。
  • biometric identity binding: 安全な暗号学的証明を用いて、検証済みの人間の身元情報をデバイスに直接結び付ける手法。
  • hardware-rooted security: 主にソフトウェアベースの認証に依存するのではなく、チップに組み込まれたセキュリティ保護。