AIサーバー特需で高性能MLCCが、新たな電子部品の供給ボトルネックに

AIサーバー向け高性能コンデンサー市場では太陽誘電と村田製作所が優位に立っており、需要急増を背景に長期契約や増産、価格圧力の高まりが進んでいる。

要約

AIデータセンターの整備拡大を背景に、高性能MLCC(積層セラミックコンデンサー)の需要が急増している。AIサーバーは従来型サーバーを大きく上回る数の部品を必要とするためで、太陽誘電の佐瀬勝也社長はAIサーバー向け部品の受注量について「恐ろしい」と述べ、供給圧力は「極めて強い」と指摘した。日本の太陽誘電と村田製作所が、高性能MLCC市場における主要な供給ボトルネックとして浮上していることを示している。 AIサーバー1台当たりで使用されるMLCCは最大約28,000個に達し、標準的なサーバーの約13倍、スマートフォンの約30倍に上る。GPUは急激な電圧変動を平滑化するため、プロセッサー近傍に高密度のコンデンサー群を必要とするためである。半導体性能の向上に伴い、この要件はさらに強まっている。エヌビディアの前世代GB200は1枚の基板に6,500個のMLCCを搭載していた一方、今年後半に見込まれる次世代Rubinプラットフォームでは12,000個が必要になると予想されている。TrendForceによると、AMDの次世代MI450プラットフォームも検証段階でMLCC寄りの設計に移行し、基板上の一部MLCC数は1,440個から10,544個へ増加した。 MLCC市場全体では村田製作所が約40%のシェアを持ち、Samsung Electro-Mechanicsが約20%、太陽誘電が約10%で続く。ただ、Bloombergによると、AIサーバー向け高性能MLCCの世界供給の大半は太陽誘電と村田製作所が担っている。需給逼迫を受け、顧客は3〜5年の長期供給契約へと向かい、NCNR条件の採用も広がっている一方、供給企業は能力増強を進めている。TrendForceは2025年の世界AIサーバー出荷が前年比28.3%増になると予測しており、サーバー市場全体の12.8%増を大きく上回る。Samsung Electro-Mechanicsのブック・トゥ・ビル比率は1.31、村田製作所は1.30、太陽誘電は1.25で、受注が出荷を上回る状況が続いていることを示す。

用語解説
  • MLCCs: 電子機器内で電力を調整・安定化するのに役立つ積層セラミックコンデンサー。
  • NCNR: 注文の取消しや返金ができない契約条件で、需要変動リスクを買い手側により多く負わせる。
  • book-to-bill ratio: 新規受注と出荷を比較する指標で、1を上回る数値は供給逼迫を示唆し得る。