
大幅に拡大されたNSSLフェーズ3レーン1の上限の下で初の契約となり、SpaceXは2027年までのヴァンデンバーグ発の18ミッションをすべて受注した。ゴールデン・ドーム関連の衛星配備における同社の中核的役割を改めて示した格好である。
SpaceXは、2027年末までにヴァンデンバーグ宇宙軍基地からFalcon 9による18回の打ち上げを実施するため、総額16億ドルの米宇宙軍タスクオーダー2件を獲得した。これは、国家安全保障宇宙打ち上げ(NSSL)フェーズ3レーン1契約の上限が7月17日に56億ドルから170億ドルへ引き上げられて以降、初の発注となる。 各ミッションでは、国防総省の「Space Based Sensing and Targeting」ポートフォリオ向け衛星を打ち上げる。これは、航空脅威を検知・追跡・標的化し、そのデータをほぼリアルタイムで統合軍司令官に中継することを目的とした、低軌道のセンサー・通信レイヤーである。 レーン1契約を保有する企業は7社あるものの、今回の契約はすべてSpaceXに割り当てられた。これは、同プログラムが不確定納入・不確定数量型の契約構造を採用しており、受注企業間で案件を配分する義務がないためである。同時に、実質的な競争がいかに限定的になっているかも浮き彫りにした。United Launch AllianceのVulcan Centaurは、GEM 63XL固体ロケットブースターの異常を巡る調査のため、2026年2月25日以降は国家安全保障ミッションから外されている。一方、Blue OriginのNew Glennは、2026年5月28日の静的燃焼試験中の爆発でケープカナベラルの発射施設36が損傷し、後退を余儀なくされた。Vulcanの飛行再開時期は未定で、Blue Originは年末までのNew Glenn再飛行を目指すとしている。 宇宙システム軍団で宇宙アクセス担当ポートフォリオ取得責任者代行を務めるエリック・ザリブニスキー大佐は、今回の調達は要求の特定から契約締結まで2カ月で進み、このうち1カ月が提案書作成期間だったと述べた。18ミッションで平均すると、1回当たりの価格は約8900万ドルとなる。これは、国家安全保障ミッションに求められる任務保証、セキュリティ統合、衛星処理要件を反映し、SpaceXの商業向けFalcon 9の公表価格を上回る水準である。 今回の発注は、2026年5月下旬にSpaceXが受注した60億ドル超の宇宙軍衛星契約に上積みされる形となる。その内訳には、Space-Based Airborne Moving Target Indicator計画向け41億6000万ドルと、通信衛星向け22億9000万ドルが含まれる。今回の新たな打ち上げ契約を合わせると、SpaceXが2026年に受注した国防総省契約は少なくとも70億ドルに達し、トランプ大統領政権が提案する1850億ドル規模のミサイル防衛構想「ゴールデン・ドーム」における同社の地位を一段と強固にしている。 宇宙軍はミッションごとの詳細日程を公表していないが、打ち上げは2027年末までに完了する見通しだとしている。進捗を左右するのはロケットの供給力よりも、ヴァンデンバーグにおけるペイロード処理能力となる可能性が高い。政府は施設改修や支援契約を通じて、同基地の衛星処理インフラを拡充してきた。