
英国のAIクラウド基盤企業は、電力、コンピュート、AIワークロードのオーケストレーションにまたがる垂直統合型スタックの深化を進めるなか、Ray開発元のマルチクラウド対応ソフトウェアを取り込む。
Nscaleは7月30日、GPUクラスター全体にAIワークロードを分散するRayフレームワークを手がけるソフトウェア新興企業Anyscaleを、約16億5000万ドルで買収すると発表した。取引は規制当局の承認を前提に2026年後半の完了を見込んでおり、Anyscaleの約200人の従業員はNscaleに加わる一方、ブランドは独立して運営を続け、既存顧客へのサービス提供も継続する。今回の買収は、2026年3月のシリーズC資金調達で146億ドルの評価を受け、Nvidiaも参加した後、NscaleがAIシステムの学習と運用に使われるソフトウェア層へと事業を広げる戦略に沿うものである。同月、NscaleはAmerican Intelligence & Power Corporationの買収も完了し、8GW超の容量を持つウェストバージニア州のマイクログリッドを取得した。Anyscaleはこれまでに約2億5900万ドルを調達しており、顧客にはCoinbaseも含まれる。これは、ベンダーロックインや単一障害点の回避を目指す企業にとって、Rayのマルチクラウド型ワークロードオーケストレーションが重要であることを示している。今回の提携は、AIとエネルギー多消費型デジタル産業からの需要拡大を受け、AIインフラ企業が電力とコンピュートの双方で戦略的な支配力の確保を目指していることを浮き彫りにしている。