雲啓資本と商湯科技が出資するPhysical AIスタートアップである同社は、物流における「手と目の協調」を要する作業を照準とし、海外展開では日本と韓国を優先する計画である。
菜鳥集団の元CTOでアリババ国際デジタルコマースグループのCTOも務めた李強が、AIと現実の業務運用の接続に注力するPhysical AI企業、杭州量子動力智能有限公司を設立した。同社は雲啓資本と商湯科技から1億元超のシードラウンドを調達した。金額は約1480万ドルに相当し、資金は中核技術の研究開発、人材採用、グローバル展開に充てる。多維資本はプロジェクトのインキュベーションとチーム組成を支援した。 同社はまず、荷物の計量、ラベル貼付、棚補充、ピッキング、梱包など、「手と目の協調」を必要とする難度の高い物流作業から着手する。李氏によれば、従来の自動化システムではこうした領域を大規模には解決できなかった。従来技術で対応できたのは問題全体の「20〜30%」にとどまり、2025年に登場した新たなPhysical AI技術によって、より広範な解決策が現実味を帯びたという。 Quantum Dynamicsは、視覚、触覚、力覚フィードバックを組み合わせ、環境変化の予測、行動生成、状態価値の評価を行う「身体化ネイティブ世界モデル」の構築を進めている。また同社のアプローチの中核には、実環境で稼働するロボットから構築するデータフライホイール(自己強化型の改善ループ)があり、高価値の学習データを取得・振り分けるためにエッジ側デプロイメント(デバイス上での計算)を活用する。李氏は、Physical AIではデータの寄与度が50%を超え、拡張可能な展開は単体ロボットの能力だけでなく、群知能(複数ロボットの協調)にも左右されると主張した。 事業面では、まずB2C物流倉庫と配送センターで導入を開始し、その後は半開放型の小売拠点へ広げ、最終的にはラストワンマイル配送に進出する計画である。李氏は、複数の大手物流企業と協議を進めており、国内大手総合物流会社と全国の複数倉庫でのピッキング実証を対象とする戦略的提携契約の締結が目前にあると述べた。また、世界最大の健康食品ECプラットフォームが海外倉庫向けに同社のピッキングソリューションの採用を決めており、年内に初回導入が始まる見通しだという。2026年末までに1〜2のシナリオでPMF(プロダクト・マーケット・フィット)を達成し、2027年までに1000台超のロボットを現実世界で日常稼働させることを目指す。