ルネサス、高崎工場の生産を2〜3年以内に終了へ

同社は老朽化した6インチウエハー拠点を閉鎖する一方、高崎またはその近隣で研究開発機能を維持・強化し、データセンターと車載の成長分野へ資源を振り向ける方針である。

要約

ルネサスエレクトロニクスは、半導体業界の構造変化により老朽化した6インチウエハー生産ラインの運営維持が難しくなっていることを理由に、群馬県の高崎工場での製造を今後2〜3年以内に段階的に縮小し、終了すると発表した。同社によれば、工場の製造設備やユーティリティ設備の劣化に加え、150ミリメートルライン向け材料や保守支援の業界全体での打ち切りが進んでおり、安定操業が一段と困難になっている。 同工場は1970年に日立製作所の工場として操業を開始し、電力制御向けのパワー半導体を生産してきたが、近年は生産品目を絞り込んでいた。ルネサスは、工場閉鎖まで安定供給を維持するため、顧客需要を見極めたうえで必要に応じて在庫を積み増し、段階的に生産を減らす方針である。停止時期の詳細はまだ決まっていない。 ルネサスは、現在の高崎拠点および近隣施設の活用も視野に、研究開発機能を維持・強化するとした。研究開発は主にアナログICとディスクリートパワー半導体が中心で、同社が戦略分野と位置付けるデータセンター向けと車載向けの製品開発を支えている。 高崎拠点の従業員数は研究開発部門を含め約700人で、このうち生産停止の直接的な影響を受けるのは約250人となる見通しである。ルネサスは、社内外での配置転換やキャリア支援を通じて雇用を維持することを基本方針としている。工場閉鎖は、2022年に閉鎖した宇部市の山口工場以来となる。 今回の発表は、ルネサスが2026年1〜6月期の業績改善を示したのと同時に行われた。売上高は前年同期比26%増の7987億円、純利益は2173億円となり、前年同期の1753億円の赤字から黒字転換した。車載向けとデータセンター向けの堅調な販売が回復を支えた。同社はまた、高崎で2025年にEV向け次世代パワー半導体の生産を開始する計画を以前は持っていたが、EV需要の弱まりを受けてこの開発を中止したと明らかにした。

用語解説
  • 6インチウエハーライン: 150ミリメートルのウエハーを用いる半導体生産ライン。旧式の生産方式であり、時間の経過とともに維持が難しくなり、コストも上昇しやすい。
  • アナログIC: 電圧、電流、音など、連続的な実世界の信号を処理するよう設計された集積回路。
  • ディスクリートパワー半導体: 電力のスイッチング、制御、調整に用いられる個別の半導体部品。