NHTSAが120万台のModel 3とModel Yを調査、テスラ株は1.5%下落

予備評価は、前部サスペンション部品が脱落する可能性があるとの苦情を中心とするもので、操舵制御を失うリスクを高め、同一部品を巡る過去のリコールに続いて新たな監視が加わった。

要約

テスラ株は7月最終取引日に取引時間中で1.5%下落し、月間の累計下落率は27%超に拡大した。米道路交通安全局(NHTSA、米自動車安全当局)が、サスペンション関連の苦情を受けてModel 3とModel Y約120万台を対象とする予備評価を開始したためである。同局には、前部ロア・ラテラルリンクが脱落した可能性に関する苦情が156件寄せられている。同部品は前輪のアライメントと操舵ジオメトリーの維持を担う。NHTSAは、この不具合により進行方向の制御を失う可能性があるとしたが、事故、負傷、死亡の報告は確認されていない。 調査は7月31日に開始され、2018年から2020年式の一部Model 3セダンと、2021年から2023年式の一部Model Y SUVが対象である。テスラはこれまでにも、同様のロア・ラテラルリンク問題を巡り、2021年に約2,800台のModel 3、2023年に422台をリコールしている。NHTSAは2024年、旧型のModel SとModel Xのサスペンションシステムに関する別件調査を、不具合率が低く重大な安全上の懸念はないとして終了した。テスラは今回の新たな調査について公のתגובהを出していない。 今回の調査は、地域と事業分野で明暗が分かれるテスラ事業の現状の中で浮上した。米国では、Cox Automotiveが2026年4-6月期のバッテリー式電気自動車販売を約247,200台と推計し、前年同期比20.5%減となった一方、テスラの米国販売は約124,800台と13.1%減少した。上期の実績もまちまちで、Model Y販売は8.8%増だったが、Model 3は34.3%減となり、Model S、Model X、Cybertruckも大幅な減少を記録した。 一方で、テスラのソフトウエア戦略は勢いを増している。Full Self-Driving(FSD)の世界のアクティブ契約数は4-6月期に約148万件から150万件に達し、前年同期比56%増となった。テスラによれば、北米の新車納車の55%超にFSD契約が付帯しており、過去最高の装着率となった。欧州では、欧州連合(EU)、欧州自由貿易連合(EFTA)、英国を合わせた2026年上期の新規登録台数が170,400台と前年同期比54.6%増となり、6月単月では52,600台とほぼ50%増加した。EU単独でも伸び率は75.4%に達した。 テスラの世界納車台数は4-6月期に480,100台となり、前年同期比で約25%増加し四半期ベースで過去最高を更新した。投資家は現在、NHTSAが今回の案件を予備評価からエンジニアリング分析へ進めるかを注視している。これはより踏み込んだ精査を意味し、広範なリコールの可能性を高める段階である。アナリストは、この見直しがテスラの欧州での回復やFSDの勢いを直ちに損なう可能性は低いとみる一方、リコール費用の増加、保証引当金への圧力、ブランド信頼への試練につながる可能性があると指摘する。投資家は引き続き同社のバリュエーションや、より広範な「フィジカルAIエコシステム」への移行に疑問を抱いている。

用語解説
  • front lower lateral link: 前輪アセンブリーを車体フレームに接続し、操舵アライメントの維持を助けるサスペンション部品。
  • preliminary evaluation: NHTSAによる安全欠陥調査の最初の正式段階。
  • engineering analysis: 予備評価の後に実施される可能性がある、NHTSAによるより踏み込んだ精査で、リコールの可能性を高め得る段階。