ロンドンのスタートアップである同社は、自社の光インターコネクト・アーキテクチャにより、AI推論におけるメモリのボトルネックを緩和し、HBMの供給制約を回避できるとしており、初回納入は2027年後半を目指している。
ロンドンを拠点とするAIチップのスタートアップ、Olix Computingは、33億ドルの評価額で3億1200万ドルのシリーズBを調達した。同社によれば、これは欧州企業による半導体分野のベンチャーキャピタル調達として過去最大である。今回のラウンドはFundomoが主導し、Arm、Hudson River Trading、Reed Hastings、英国政府のSovereign AI Fundが参加した。既存投資家であるHummingbird Ventures、Crane、Plural、Creandum、Phoenix Court、Transitionも持ち分を積み増した。Matt BriersもCFOとして加わった。 同社は2024年3月にFlux Corp Ltd.として設立され、2026年1月にOlix Computing Ltd.へ社名変更した。現在、AI推論のデコード段階を高速化するためのX-1プラットフォームと、その初のチップであるDX-1を開発している。Olixは、デコードは演算スループットよりもメモリ帯域幅の制約を強く受けると主張しており、自社設計では低速・広帯域の光ダイ間インターコネクトで接続された多数の専用チップにモデル実行を分散させるとしている。各チップのワーキングセットを高帯域幅メモリ(HBM)ではなくオンチップSRAMに保持することで、OlixはHBMや先端CoWoSパッケージングに結び付く供給ボトルネックの影響を受けにくい立場を打ち出している。 Olixによれば、DX-1は1000億パラメーターのモデルにおいて、ユーザー1人当たり毎秒1万トークン超を実現できるほか、マルチラック設計により10兆パラメーター以上のモデルまで拡張できるとしている。ただし、これは同社の主張であり、このチップはまだ有償顧客に出荷されていない。テープアウトは2026年後半に見込まれており、初回納入は2027年後半を目標としている。 同社はJames Dacombeによって創業され、同氏はCoMindのCEOでもある。さらに、Nick McKeown教授が取締役会に加わった。今回の調達は、公開市場におけるチップ関連銘柄へのセンチメントが弱いなかでも、民間資本が引き続きAIインフラに流入していることを示している。Olixは依然としてアーリーステージで売上高もなく、商業面での成否は、そのフォトニック・インターコネクトのアプローチを量産できるか、また本番システムで期待通りの性能を発揮できるかにかかっている。