
ドイツの産業大手は、データセンター向けと工場向けソフトウエアの需要加速を受けて四半期ベースで過去最高の受注高、売上高、産業利益を計上したが、投資家は通期EPSガイダンスの引き上げ幅が予想より小さい点に注目した。
シーメンスが2026年6月30日締めの2026年度第3四半期決算を発表し、人工知能に関連する投資が工場向けソフトウエアとデータセンター向けインフラの需要を押し上げたことで、産業事業利益と受注高が過去最高を記録した。産業事業利益は前年同期比25%増の35億2000万ユーロと四半期ベースで過去最高となり、売上高は7%増の207億9000万ユーロと、市場予想の206億4000万ユーロを上回った。受注高は13%増の過去最高となる279億ユーロに達し、受注残は約1320億ユーロとなった。純利益は15%増の26億ユーロだった。 最も強い勢いが見られたのは、データセンターや建物向けの電気機器事業であるSmart Infrastructureで、単独受注高は前年同期比42%急増した。工場自動化ソフトウエアを提供するDigital Industriesも、顧客によるAI関連の産業向けツールへの支出拡大を受けて利益成長を下支えした。最高経営責任者(CEO)のローランド・ブッシュ氏は、「顧客のイノベーション加速と生産性向上を支援する産業AI製品が成長をけん引している」と述べ、とりわけデータセンター事業の強さを指摘した。 シーメンスは2026年度通期の1株利益(EPS)見通しを、従来の10.70-11.10ユーロから11.20-11.50ユーロへ引き上げ、今年2度目の上方修正となった。それでも、より大幅な引き上げを期待していた投資家の反応を受け、フランクフルト上場株は発表後の取引時間中に一時6%下落した。RBCキャピタル・マーケッツは、この引き上げは「同業他社と比べて小幅だ」と指摘する一方、マクロ経済の需要環境を巡る不確実性や、AIソフトウエアがシーメンス自身の事業を混乱させる可能性も挙げた。今回の決算は、同社がシュナイダーエレクトリックやABBと並び、データセンター向けハードウエア需要の持続性や産業用ソフトウエアにおける長期的な競争環境の変化に対する市場の慎重姿勢が強まるなかでも、世界的なAI投資サイクルの恩恵を受けていることを示している。