米ヘルスケア株が反発、7月のファンド流入額は24.4億ドル

S&P500ヘルスケア指数は、利益見通しの改善やM&A活動の活発化、なお割安とみなされるバリュエーションに支えられ、3カ月で11.2%上昇して過去最高値を付けた。

要約

米国のヘルスケア株には、AI主導のテクノロジー取引から資金が移り、より安定した成長と割安なバリュエーションが見込まれるセクターとして、新たな投資家の関心が集まっている。LSEGリッパーのデータによると、S&P500ヘルスケア指数は過去3カ月で11.2%上昇し、S&P500の6%上昇を上回った一方、米国上場の約50本のヘルスケアファンドには、6月の約15億ドルの流入に続き、7月に24.4億ドルが流入した。投資家とアナリストは、この反発の背景として、セクター利益の急回復期待、ディールメーキングの活発化、そしてヘルスケアが市場全体と比べてなお相対的に割安であるとの見方が組み合わさっていると指摘している。グローバル・マーケッツ戦略責任者ドゥブラフコ・ラコスブハス氏率いるJ.P.モルガンのアナリストは、同セクターは持続的な成長、高い収益性、魅力的なバリュエーションを備え、なおAI関連銘柄に集中しているポートフォリオに分散効果をもたらすと述べた。バンク・オブ・アメリカの調査では、世界のファンドマネージャーのヘルスケアに対するオーバーウエートは7月にネット32%となり、6月の14%から上昇した。アナリストによると、最近の企業決算も年初の低調なスタート後にセンチメントの回復を後押しした。アッヴィは第2四半期の利益予想を上回り、ユナイテッドヘルス・グループは利益予想を上回ったうえ、2026年見通しを引き上げた。ディールメーキングも魅力を高めており、ディーロジックによると、今年のヘルスケアM&Aは2840億ドル近くに達し、2025年通年の3060億ドルに近づくとともに、2021年以降のどの年も上回っている。アストラゼネカとブリストル・マイヤーズスクイブが合併の可能性について協議したとの報道も、業界再編のテーマを改めて浮き彫りにした。上昇後も同セクターの予想PERは12カ月先利益予想ベースで約18倍と、20年平均の15倍を上回る一方、S&P500の約20倍は下回っていた。ストラテジストは、過去の短命なローテーション取引とは異なり、今回は市場全体の指数が過去最高値圏にある中で起きているため、より持続的な動きとなる可能性があるとみている。投資家は11月の中間選挙にも注目しており、アナリストは、ねじれ議会となれば利益を圧迫する法案のリスクが低下する可能性がある一方、下院を民主党が握れば、医療費負担適正化法とメディケイドに関連する取り組みが再び進み、一部の保険会社や病院運営会社を後押しする可能性があると指摘している。

用語解説
  • M&A: 合併・買収活動
  • forward earnings: 今後1年間の企業利益予想
  • overweight: ベンチマークより多めに保有している状態