欧州中央銀行はデジタルユーロのプライバシー設計を擁護し、ユーロシステムが決済の送金者や受取人を特定したり、個人を取引に直接ひも付けたりすることはできないと説明した。欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのピエロ・チポローネ氏は、取引に関与する銀行は、マネーロンダリング対策などの目的で利用者を特定できると述べた。一方、オフライン決済では、取引情報を利用できるのは送金者と受取人だけになるという。ECBは、2027年に予定するパイロット試験に先立ち、デジタルユーロを試験する決済プロバイダー36社を選定した。また、ユーロ圏のカード決済の3分の2が欧州域外の企業によって処理されていることを指摘し、このプロジェクトを欧州の決済主権を強化する手段としても位置付けている。必要な法整備が成立し、技術面および運用面の作業が完了すれば、デジタルユーロは早ければ2029年にも発行される可能性がある。欧州議会の経済・金融問題委員会は6月に立場を最終決定し、7月には欧州連合理事会との交渉開始を承認した。プロジェクトをめぐっては議論が続いており、議員やプライバシー擁護団体、仮想通貨コミュニティーのメンバーは、中央銀行デジタル通貨によって金融監視が拡大する可能性があると警告している。米国では、トランプ大統領が2025年1月、連邦政府機関がCBDCを開発または推進することを禁じた。一方、下院議員らは「Anti-CBDC Surveillance State Act(反CBDC監視国家法)」の成立に向けた手続きを進めている。