米ドルは、米連邦準備制度の政策、財政をめぐる不透明感、世界的なリスク選好を投資家が見極めるなか、大きく変動している。6つの主要通貨に対するドルの動きを示すドル指数は、旧報告書が対象とした期間に1カ月でおよそ2%下落し、2024年初め以来の低水準となった。一方、新しい報告書では、2025年5月半ば時点で4月の安値から約2%上昇したとしている。インフレの鈍化、雇用創出の減速、消費者心理の悪化、9月利下げが高い確率で実施されるとの見方が、ドルの金利面での優位性を圧迫している。これに対し、米国債への需要回復、相対的に魅力的な利回り、債務上限や予算をめぐる不透明感は、安全資産としてのドル需要を支えている。エヌビディアの決算と業績見通しは、リスク選好や通貨フローに影響を及ぼす可能性がある。また、米連邦準備制度のパウエル議長によるジャクソンホールでの講演は、9月以降の利下げの時期とペースを示す手掛かりを求めて注目されている。ドル高は新興国通貨を圧迫し、世界の金融環境を引き締め、ドル建て債務の負担を増大させ、米多国籍企業の海外利益のドル換算額を減少させる可能性がある一方、輸入コストを低下させ、米国のインフレ抑制に寄与する可能性もある。