ポーランド下院は3度目となるカロル・ナブロツキ大統領の拒否権を覆せなかった。対象となった法案は仮想通貨市場を規制し、欧州連合(EU)の暗号資産市場規制法(MiCA)に基づく国内規制当局として金融監督庁(KNF)を指定するものだった。採決では、出席議員442人のうち賛成241票、反対198票、棄権3票となり、必要な266票に25票届かなかった。ポーランドはEUの2026年7月の実施期限に間に合わず、機能する国内MiCA枠組みを持たない唯一のEU加盟国であり続けている。KNFも、同分野の規制当局が指定されていないことを認めている。ナブロツキ氏は、6月11日に拒否権を行使する前に議員らが自身の提案した16項目の変更のうち1つしか取り入れなかったと述べた。また、ウェブサイトの遮断などの権限によって、合法的な事業者が国外に流出する可能性があると主張した。今回の対立は、かつてビットベイとして知られていたゾンダクリプトを巡る刑事捜査と重なっている。捜査では、創業者シルウェステル・スシェク氏が2022年に行方不明となった件や、投資家の損失が少なくとも3億5000万ズウォティ、約9500万ドルに上るとされる問題が焦点となっている。ポーランド・オリンピック委員会のラドスワフ・ピエシエビチ会長は、ゾンダクリプト創業者プシェミスワフ・クラル氏との関係が疑われ、拘束されたと報じられた。一方、取引所のエストニア運営会社BB Trade Estoniaは8月に破産宣告を受けた。拒否権はなお効力を保っており、ポーランドの仮想通貨企業はライセンス取得や監督執行を巡って不透明な状況に置かれている。議員らは、ナブロツキ氏の異議に対応できる修正版法案をまとめられるか検討している。