カーニー首相は、カナダと欧州連合(EU)の経済・戦略関係の強化を進めており、準加盟の枠組みも検討している。トロントで2日間の日程で開くサミットには、合計100兆カナダドル超の資産を運用する世界の投資家100社超を呼び込む構えである。カナダ政府とEUは、エネルギー、人工知能(AI)、防衛、重要鉱物など戦略的なサプライチェーンを巡り、物品やサービス、労働者の移動をより自由にする方策を検討している。海底ケーブル、データセンター、衛星ネットワーク、エネルギーインフラ、北極海航路の整備も選択肢に含まれる。こうした多角化の取り組みは、米国との通商協議が決裂し、米国が報復措置を講じたほか、トランプ大統領がカナダを51番目の州にする可能性に言及したことを受けたものである。米国は昨年、カナダの輸出の約72%を購入しており、両国間の貿易はカナダのGDPの約20%に相当する。このため、安定した将来の貿易関係は長期投資を呼び込むうえで中核となる。カーニー首相は、エネルギー、資源、AI、防衛、運輸、インフラ分野におけるカナダの投資機会を売り込んでいる。ただ、投資家は、長期化する許認可手続き、大型プロジェクトに対する州政府や先住民の反対、投資対象となる案件の規模と厚みの限られた状況をなお警戒している。