TSMCの執行副社長兼共同最高執行責任者(COO)であるY.J. Mii氏は15日、国立台湾大学で開かれたフォーラムで、人工知能(AI)は非常に高い能力を持つ一方、まだ未成熟だとして、「3歳のスーパーマン」に例えた。AIは、入力・出力・データセットが明確に定義されているプログラミングや電子設計自動化(EDA)で成果を上げている。しかしMii氏によると、未知のパラメーターや実際の材料、重大なトレードオフを伴う半導体プロセス研究では、AIの信頼性はなお十分ではない。TSMCはそのため、コーディング支援やEDAなどへの利用を認める一方、技術的優位性を支える研究・プロセス開発へのAI適用には慎重な姿勢を維持している。AIツールが外部システムを利用する際には、製造パラメーターやプロセスレシピを含む機密性の高い研究開発データが流出する可能性がある。こうした慎重姿勢は、TSMCがエヌビディアやアップルなどの顧客向けAIチップの生産能力を拡大する中で示されたもので、独自の研究開発における生産性向上の実現には時間がかかる可能性があるものの、需要は依然として強いことを示唆している。Mii氏はまた、半導体業界が7nmプロセスノードを超えて以降、高度な半導体開発には参考にできる確立済みの答えがないと指摘した。そのため、人間の判断力、迅速なデバッグ、事業性の評価、部門横断的な議論が不可欠だという。同氏は、IBMリサーチからTSMCのウェハーファブ業務へ移った経緯や、アリゾナ州と熊本県での海外採用・経営上の課題、リーダーシップにおける人文科学、コミュニケーション、人材管理の重要性についても語った。オープンAIとアンソロピックの幹部も、予期せぬシステム挙動への懸念を背景に、慎重なAI開発を呼びかけている。