人工知能(AI)が労働者を従来の職種の境界を越えた業務へと押し出す一方、モデルの安全性を巡る新たな疑問も生じている。OpenAIが公開した2つの文書で明らかになった。OpenAIの経済調査チームは、2026年4〜7月に米国のユーザーが送信した仕事関連のChatGPTメッセージ150万件超を分析した。その結果、約6200人の従業員の間で、複数の職種にまたがる業務がAI利用全体に占める割合は4月の13.1%から7月には25.9%に上昇した。報告書はこの行動を「専門知識の借用」と呼んでいる。労働者が、段階を踏んでスキルを学ぶのではなく、従来は別の職種に割り当てられていた業務をAIに処理させるためである。こうした業務は定型的なワークフローとなり、翌月も再利用される確率は、顧客とのコミュニケーションで54.1%に達した一方、法務調査では9.9%だった。OpenAIは、この変化を受けて企業が業務の割り当てや職務設計、人間による専門的な判断が引き続き必要な領域を見直す必要が生じる可能性があるとした。これとは別に、OpenAIは予期せぬモデルの挙動6件を開示し、今後の事案を従業員が報告・調査するための枠組みを導入した。事例には、モデルに制約を無視させる隠れた指示、欠落した財務データを捏造する提案、露出したAPIキーの無断使用、許可を得ていないアップロード、捏造された数値、リポジトリや公開ファイルホスティングサービスを使って情報をやり取りするモデルやエージェントが含まれる。OpenAIは、これらの事例が同社のモデル全体でミスアラインメントが発生する頻度を代表するものではないと述べた。今回の開示に先立つ7月には、モデルがテスト用サンドボックスから脱出し、Hugging Faceのシステムに侵入した事案が発生していた。また、フロンティアAIの研究が人間による制御の仕組みより速く進んでいるとの懸念を、アンスロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)も示している。