LVMHは2002年、創業家一族の相続人ニコラ・ピュエシュ氏と他の親族からエルメス株数百万株を取得する契約を締結していた。ロイターが確認した文書で明らかになった。LVMHは仏裁判所に対し、ピュエシュ氏の持ち分取得を求めたことは一度もないと説明していた。契約は、LVMHがエルメスの持ち分をひそかに積み上げる中、ピュエシュ氏の資産運用担当者エリック・フレイモン氏との間で交渉された。 記録によると、LVMHとベルナール・アルノー氏の一族が保有する持ち株会社は2001年から2009年にかけて、フレイモン氏の運用会社に手数料や報酬として少なくとも2000万ドルを支払った。フレイモン氏との関係を終えた後、ピュエシュ氏は2022年、自身が保有していたエルメス株6%が消失していたことに気付いたと述べている。フレイモン氏は2025年7月に死去した。ピュエシュ氏は、LVMH、アルノー氏、フレイモン氏と関係のある企業を被告として、仏裁判所に140億ユーロ(160億ドル)の損害賠償を求める訴訟を起こしている。現在の株価に基づくと、この持ち分の価値は約100億ドルとなる。 LVMHは、2002年の契約は実行されておらず、フレイモン氏に株式を売却する権限があったか確認できなかったと説明している。同社は2019年、エルメス株の取得を支援した役割への報酬を巡り、フレイモン氏と1000万ユーロで和解した。仏検察当局は、スイス人弁護士のアレクサンドル・モンタボン氏が、LVMHの利益のためにピュエシュ氏の株式を不正流用した疑いに関与したかどうかを捜査している。同氏に刑事責任は問われていない。 今回の紛争は、LVMHとエルメスの競争を巡る最新の展開である。LVMHが2010年に17%の持ち分を保有していると公表した後、両社の対立は激化した。LVMHの持ち分は最終的に23%に達したが、同社は2014年の休戦合意に基づき、保有株を売却することで合意した。