中国の膨大な石油備蓄と輸入削減により、原油市場の不安定な状況と紛争の長期化が続く中でも、イランとの戦争が価格に及ぼす影響は抑えられている。中国は昨年末までに約14億バレルの戦略備蓄を積み上げ、最新の5カ年計画ではエネルギー自給を盛り込んだ。米国とイスラエルが砲撃を開始し、イランがホルムズ海峡を事実上閉鎖すると、世界第2位の原油消費国で、イランにとって最大の買い手でもある中国は原油輸入を大幅に削減し、在庫を取り崩すとともに、電気自動車や代替エネルギーへの依存を強めた。第2四半期の輸入量は1日平均810万バレルで、第1四半期から約400万バレル、32%減少した。アナリストによると、中国の需要減少が、原油価格を最も厳しい予測を下回る水準に抑えるうえで最大の要因となっている。ただ、新たなエネルギー・海運インフラへの攻撃により、その価格抑制効果が試されている。バンク・オブ・アメリカのアナリストは、下半期の原油価格を1バレル83ドルと予想する一方、混乱が長期化すれば95~120ドルに上昇し、主要インフラが損傷すれば150ドルまで急騰する可能性があると警告している。ブレント原油は昨年、1バレル平均約69ドルで、現在は100ドル前後となっており、4月下旬には一時126ドルまで上昇した。戦争とその経済的影響は、トランプ大統領と中国の習近平国家主席との協議で取り上げられる見通しだが、アナリストは海峡の再開や紛争終結に向けた突破口が開かれる可能性は低いとみている。