英イングランド銀行(中央銀行)のアンドリュー・ベイリー総裁は、人工知能(AI)に投じられる資金が急増するなか、同分野が投資家の期待するリターンを実現できなければ、金融市場のショックを引き起こす可能性があると警告した。英中銀はAI投資を非常に注意深く監視しており、資産価格が調整に見舞われる可能性があると説明。すべての企業や投資家が勝者になるわけではないとも指摘した。エヌビディアの企業価値は5.5兆ドルに達しているほか、アルファベット、メタ、マイクロソフト、アマゾンはAIに数千億ドルを投じている。アンソロピックとOpenAIも米国市場での株式売却を準備しており、AI分野にさらに数千億ドルが流入する可能性がある。ベイリー氏は、AIが経済成長を後押しし、金融政策委員会を支援する業務の迅速化にもつながる可能性があると述べた。ただし、AIは意思決定者ではなく、あくまでツールにとどまるという。さらに、AIによってソフトウェアの脆弱性が露呈し、サイバー攻撃が可能になり、ディープフェイクが拡散する恐れも警告した。発言は、長期国債利回りが数十年ぶりの高水準に達するなかで出た。英国30年債の利回りは6%を超え、米10年債は5.34%となった。英中銀は別途、AI関連の借り入れの増加、透明性の低い資金調達構造、ポジションの集中、インフラ需要を巡る共通の前提が、収益や導入実績が期待を下回った場合に損失を増幅させる可能性があると警告している。