従来はWorldcoinとして知られていた生体認証IDプロジェクトのWorldは、実運用に対応したゼロ知識証明ツールキット「ProveKit v1」をオープンソース化した。同ツールキットはすでにWorld IDに統合されており、ユーザーは基礎となるデータを明らかにすることなく、スマートフォンやウェブブラウザー上で個人に関する主張の暗号学的証明を生成できる。ツールキットは、楕円曲線暗号ではなくハッシュベースのWHIRコミットメント方式を通じて128ビットのポスト量子セキュリティを目指しており、信頼されたセットアップを必要としない。また、AztecのNoir言語で記述したカスタムクレームに加え、NFC対応の身分証明書からローカルに保存したWorld ID Credentialsにも対応する。World Foundationの広報担当者は、実用的な量子攻撃の実現まで5〜15年先だとしても、組み込まれた暗号技術の置き換えには数年を要するため、今回の早期移行はNISTの指針に沿ったものだと述べた。また、ゼロ知識システムにおける主な量子リスクは、証明がローカルで生成されることから、「Harvest Now, Decrypt Later」による機密性攻撃ではなく、証明の偽造であると説明した。ベンチマークでは、標準的なスマートフォンで数秒、低価格帯のハードウェアで30秒未満で証明を生成でき、サイズは平均でおよそ1MBだった。イーサリアムでの検証など、オンチェーン上のフットプリントを小さくする場合、WorldはGroth16などのシステムを用いた再帰的な検証を推奨している。Worldは、証明サイズとメモリ使用量を削減し、オンチェーン効率を高めるProveKit v2を開発している。一方、World IDとイーサリアムは、2030年代になると予想される時期に先駆け、完全なポスト量子保護の実現を目指している。